蓋を回すと大人びた園児の私がいた
掃除をした。
何も捨てられなかった。
比較的、捨てられないものが多い人生だと思う。
捨てられなかったチケットの半券。
捨てられなかったアイドルの切り抜き。
捨てられなかった猫のメモ帳。
全部全部もっかいしまった。
流石に一年間でセンチ単位のチケットの半券が溜まってくのはどうかと思うが。
場所があるならそれでもいいと思う。
綺麗さっぱり捨てることが必ずしもいいことだとは思わないから。
でも、今回の掃除で3歳から洗っては入れ換えて使っていたボディクリームの容器を捨てた。
初めて買ってもらった時を覚えている。
幼稚園に行く前に、母に膝に塗りなさいと言われたのだ。中身はもう買ってもらった時と変わっているのだが(ボディークリームを団子のタレのように継ぎ足し継ぎ足し...なんて聞いたことないし、衛生観念ゼロで気持ちが悪すぎる)、当初ほんのりと花のにおいがしたのを覚えている。リボンがあしらわれたピンクの蓋の白い容器。幼児の握り拳くらいの大きさ。ずっとずっと大事だった。
だけど、急にいらなくなってしまった。
経験上、そうなるともう一生魅力に感じないので捨てても後悔はない。
なぜ、そんなに大事だったのか今となってはわからない。
今、これが生きがいとでも言うように舞台に入ったチケットの半券を大事にしているが、いつか全部捨てる時が来るのだろうか。
遅かれ早かれ、執着が消えて、人として褒められたルートに戻れる日を願う。